当サイトのお問い合わせフォームに株式会社KADOKAWAコミックビーム編集部のN山さまから献本のご依頼がありました。
このような弱小WEBメディアに献本をいただいても何の影響力もないですし、いいのかなと思ったのですが題材が面白そうな漫画だったので許諾しました。
献本はいただきましたが、特に記事化依頼などは受けておりませんのでPR案件などではなく、純粋に漫画を読んでの感想を書かせていただく感じです。
結論から申し上げると、香川県民(とくに高松市民や小豆島民)は全員読むべし。いや、どこに住んでいようが漫画好きなら必ず読もう。いや、最近あんまり漫画読んでないなぁという人も読もう!
もうAmazonのリンクを貼っておくので僕の拙い感想なんかよりもレビューとか読んでください!サンプルもあります!上下巻の2冊でサクッと読めます。

タイトルを見た時に噂の映画『大怪獣のあとしまつ』を連想してしまったのは正直なところです。
評判が評判なだけに『大怪獣のあとしまつ』は観ていないのですが、あらすじや感想のブログなどを読む限りではまったくの別物だと思われます。
もしも『大怪獣のあとしまつ』を連想してしまって「ちょっと…」と思ってしまうのはとてもとてももったいないです。(たぶん『大怪獣のあとしまつ』に求めていたものがここにあります。おそらく…きっと。)
そして怪獣の処理というと『怪獣8号』も思い浮かぶかもしれませんが、全然違います。
簡潔にあらすじを書くとこんな感じ。
『怪獣を解剖する』は、本多昭という女性怪獣学者が瀬戸内の島にうちあげられた巨大怪獣「トウキョウ」の死骸解剖調査に携わるストーリーです。トウキョウの解剖調査を通じて、本多昭は「本当に死んでいるのか?」という疑念を抱き、怪獣の謎に迫っていきます。
わざと「女性」怪獣学者と書きました。
この女性であることの諸々も話に深みや現実味をだしていたり、リアルな現実の問題ともリンクされる部分で非常に重要だと思ったからです。
駄目だ。ぜんぜん伝わらない!
お話は怪獣の解剖という非常に非現実的なテーマを軸に進んで行きますが、本質は怪獣の話ではなく人間と人間、人間と自然、人間と脅威、人間と環境、人間と好奇心、女性と男性、正義と正義、今と未来、現実と理想、故郷と都会、恐怖と好奇心、未知と既知(←かなり心に残った)など、作者であるサイトウマド先生が感じている様々な問題(または矛盾や葛藤など)が表現されています(たぶん!)。
書いていて、トロッコ問題に似ているなと思いました。
答えの出ない、出しにくい問題。それでも考え続けて行かなければならない問題がそこかしこにある。
少し情緒的な紹介をするとしたらこんな感じ。
巨大怪獣「トウキョウ」の死骸は、小豆島(漫画内では大豆島)に打ち上げられた。
その死骸がもたらしたのは、静かな終息ではなく新たな災厄の始まりでもあった。
すぐに処理していれば、防げたかもしれない被害。
だが、“未知”を“既知”に変えることこそが、人類の備えになる――
科学と倫理のあいだで揺れる現場に、怪獣学者・本多昭は立ち会う。
これは、ただ怪獣の死体を解剖する物語ではない。
私たち人間の、“知ろうとする営み”そのものを描いた物語だ。
読後、胸の奥に重く、深く残る――そんな一冊です。
どんなに言葉を並べても伝えきれないですね。
SDGsとか環境問題とか言い始めるとチープになりそうなので止めておきます。
主人公をはじめとした登場人物の台詞にドキッとさせられることがたくさんあって紹介したいのですが、僕が書くとそれこそ安っぽくなるのでそれも止めておきます。
とにかく「おもしろかった」です。
それに尽きます。
なので多くの人に読んで欲しいと思いました!
逆を言えば怪獣とヒーローが出てきて戦って…みたいなものを求めてる人は駄目ですので注意かなとも思うのですが、他の方の感想を読むと怪獣モノのオマージュとかも散りばめられているらしいので、それはそれで楽しめるのかもしれません。
つまり全国民必読ですね!
散りばめられていると言えば漫画の舞台が香川県(高松市)や小豆島で、見慣れた風景が時々出てきて「ここあそこだ」とわかったりするのが面白くもあり、地域住民にとっては現実味をより一層感じられる部分でした。
僕が住んでいる地域や高松駅前(高松港)なんかも出てきたり、南新町付近や丸亀町グリーン付近なんかも出てきます。(小豆島は行ったことがないのでわからなかったです)

そんな一コマを探しながら読むのも面白いかもしれません。
上下巻読了後に、サイトウマド先生はどんな人なのかネットストーキングしてみたところ、noteやXのアカウントがあったので早速フォローしました。
Xの投稿を見ていたらなんと本日、本屋ルヌガンガでサイン会があったとのことで行きたかった!
実は怪獣を解剖するの上下巻だけではなく『解剖、幽霊、密室』という短編集もあわせた3冊同時発売だったらしく、『解剖、幽霊、密室』もご献本いただいたのですが、早くこの記事が書きたくて1話しか読んでいませんが、これまた面白かったです。
早く続きが読みたいのでここまでにしておきます。
皆さんもぜひ、お手にとってみてください!
⇒ 解剖、幽霊、密室 (ビームコミックス) [ サイトウ マド ]

※オモコロにも寄稿されているようです。